2011年06月27日

あの頃の誰か 【著:東野圭吾】

記念すべき通算10冊目の東野作品となります

あの頃の誰か


読み終わったのは2週間ほど前だったでしょうか…

これより前に読んだ「天使の耳」の記事化が遅れ、芋づる式に今頃記事にすることにw


【あらすじ】
メッシー、アッシー、ミツグ君、長方形の箱のような携帯電話、クリスマスイブのホテル争奪戦。
あの頃、誰もが騒がしくも華やかな好景気に躍っていました。
時が経ち、歳を取った今こそ振り返ってみませんか。
東野圭吾が多彩な技巧を駆使して描く、あなただったかもしれない誰かの物語。
名作『秘密』の原型(プロトタイプ)となった「さよなら『お父さん』」他全8篇収録。


「あらすじ」の一行目を読んで「懐かしいなぁ」と感じた方は、ずばり「おっさん&おばちゃん」ですね?w

もちろん私もそんな「おっさん」の一人ですw

とはいえ、ディスコデフィーバーしたり、ティファニーのオープンハートを求めて宝石店をハシゴしたり…なんて生活とは全く無縁でしたけどもねw


今作は、そんなバブル景気の真っ只中に起こった殺人事件を題材にした「シャレードがいっぱい」など、こちらも『天使の耳』同様短編オムニバス形式で構成されています。

著者自らのあとがきを読むに、どうやらこれまで発表する機会を失っていた「わけあり」な作品ばかりのようですね。


私が最も引き込まれた作品は、「再生魔術の女」です。

主人公の男は、とある社長令嬢との結婚を控えており、それまで付き合っていた女性がジャマになって殺害してしまいます。

結局女性は押し入り強盗に殺されたのだろうという結論に至り、男は罪に問われることなく令嬢と結婚。

その半年後、なかなか子宝に恵まれない夫婦は、未成年なのに子供を産むことになり、経済的に養育が難しいなどの「わけありな子供」をあっせんする施設の門戸を叩きます。

そこで一人の男児を紹介され、妻はその子をいたく気に入り早々と家へ連れて帰ります。

一方、「ご主人に話がある」という施設の責任者の女性。

やがて二人きりで女性と男は話を始めるのですが、その話を聞いていくうちに男は徐々に恐怖のどん底に落とされていくハメに…

実はこの女性は男がかつて殺した女の姉で、警察の捜査に納得がいかずに妹の身辺を独自に調査。そうして辿り着いたのがこの男だったのですが、男夫婦が子供を欲しがっていることを知り、妹の無念を晴らすべく、妹の部屋に残っていた犯人(男)の体液を密かに採取し、それを使って自分の卵子と人工授精させ生まれた子供がさきほど男の妻が引き取っていった男児であると…!

「血の繋がりがないはずの子供が成長していくにつれてだんだんとあなたに似ていくこと、奥様はどう思うでしょうね…」

その後、追い詰められた男は自殺してしまいます。

男児は、男とは何の関係も無い、女子高生が生んだ子供だったのに…


お〜こわ!!

姉の復讐は成功したことになりますが、そのやり方がなんとも巧妙でしかもえげつない…

もしかして、この復讐だけのためにわざわざ養子あっせんの施設を立ち上げたりしたのでしょうか…?

そう思うとゾ〜ッとしますよね^^;
posted by ラムネ at 23:56| 大阪 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

天使の耳 【著:東野圭吾】

今作で9作目の東野作品

天使の耳

なんですが、実は読み終わったのはもうずいぶん前の話です。


記事にするのをすっかり忘れていましたw

 ※しかもそんな作品が実はもう1冊あったり…w


【あらすじ】
深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か!?
死んだドライバーの妹が同乗していたが、症状は目が不自由だった。
しかし、彼女は交通警察も経験したことのがないような驚くべき方法で兄の正当性を証明した。
日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。


この本は以前「交通警察の夜」という題名で出版されていたものを改題したもののようですね。

あらすじとして紹介した「天使の耳」をはじめとし、「交通事故」を題材とした全6作のオムニバスで構成されています。


どの話も展開が読めない秀作揃いでしたが、特に1作目の「天使の耳」が強く印象に残ってますね。


衝突事故で兄が死亡した目の不自由な少女。

同乗していたとはいえ、目が見えないのでは証言を聞いてもにわかに信じがたい。

しかし、彼女は常識を超えた「聴覚」の持ち主で、事故発生時に鳴っていたラジオの曲を的確に覚えており、その放送時刻を元に深夜の信号機の「色」を特定。

兄側の信号機が「青」であったことを見事証明したのでした。

が…

後日担当警察官は加害者と特定された運転手の同乗者の女性と出会い、彼女と話をしているうちに、盲目の少女が語っていた話に矛盾があることに気付きます…

もしかして、信号機は双方「赤」だったのではないか?

少女に、まんまと騙された…?


警察をも手玉に取る「奇跡の耳」を持つ少女…なんとも恐ろしい話です…
posted by ラムネ at 23:11| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月01日

分身 【著:東野圭吾】

通算8作目となる東野作品

分身

を本日読み終えました。


【あらすじ】
函館市生まれの氏家鞠子は18歳。札幌の大学に通っている。最近、自分に瓜二つの女性がテレビに出演していたと聞いた--。
小林双葉は東京の女子大生で20歳。アマチュアバンドの歌手だが、なぜか母親からテレビ出演を禁止される。
鞠子と双葉、この二人を結ぶものは何か?現代医学の危険な領域を描くサスペンス長篇。


過去に読んだ「手紙」「秘密」に次ぐ長編作品で、テーマは「変身」「宿命」と同じく医療をテーマにしたものですね。

この作品の手法はちょっと変わっており、ダブル主人公である「氏家鞠子」と「小林双葉」双方の話が交互に描かれているところ。


「氏家鞠子」は北海道の函館で子供の頃から何不自由なく育てられましたが、なぜか子供の頃から「母親から真に愛されていないのでは」という感覚に捕らわれてきました。
容姿が父母のどちらにも似ていないことも気にしながら…。

やがて女子寮のある名門中学に進学しますが、たまに家に戻ってもやはりその疑惑は拭えない…

そして…悪夢の夜が…

久しぶりの家族団らんのあと、なぜか急に睡魔が訪れ、再び目を覚ました鞠子が居たのは家の庭。
そして、その家は業火に焼かれていたのでした…。
その家事で母は死亡。調査の結果、母親が火を付けて無理心中を図ったのだろうという…。

母の突然の死、そしてその後から目立つ父の不可解な言動。

鞠子は叔父の家で偶然手にした「東京」の地図と顔の無い女性が写った写真を頼りに、事の真相を探ろうと単身東京へ赴きます…。


一方「小林双葉」は学業の傍らアマチュアロックバンドの女性ボーカルとして活動してました。
父は幼い頃に死んだと聞かされ、母一人子一人で東京の安アパートで暮らしています。

とあるオーディション番組で双葉のバンドは勝ち上がり、テレビ番組に出演するオファーが。
しかし、母にはテレビに出ることを固く禁じられ、疑問に思いながらも一度は承諾しますが、やはり自分の夢を叶えるという欲求には勝てず、言いつけを破ってテレビ出演を決行します。

しかし、それが双葉の運命を大きく変えてしまいます…。

母が盗難車を使った何者かに轢き逃げされ、死んでしまうのです。

ちょうどその前日、見知らぬ男が家を訪れ、母となにやら意味深な会話をしていたのを聞いていた双葉。

そして、母の部屋を整理していて偶然見つけたとある大物政治家に関するスクラップ。

そんなとき、事故の前に母を尋ねた男から「北海道に来ないか。色々と説明したいことがある」という連絡が。

不信に思いながらも、母の死の真相を知りたいと思った双葉は男の話に乗って北海道へ…。


この作品の面白いところは、「鞠子」と「双葉」がそれぞれの関係を全く知らない状態で、お互いのホームグラウンドである北海道と東京にそれぞれが単身赴き調査をするところです。

そこで、それぞれが自分とソックリの顔の人間に間違われることで、自分と瓜二つの人間が存在することをおぼろげに知っていくのです。


そして、お互いがそれぞれ協力者の力を借りながら徐々に真相に近づいていきます。

およそ20年前、とある夫婦は子供が欲しいが夫の遺伝病のために子供が作れないことを悩んでおり、東京の知り合いである氏家に相談するのですが、実は氏家が参加する研究グループは、倫理的にタブー視されている「クローン技術」の研究を行っており、夫婦には告げずに提供された卵子を使って見事生成に成功します。

暫くは同時に成功していた「凍結技術」によって保管されていましたが、研究グループに所属していた後に双葉の母になる小林が着床実験の母体になることを志願。無事成功し、そのまま実験は続けられるはずでしたが、徐々に母性に目覚めた小林はある日研究施設を脱走し、わが子として産み、育てる決心をしたのでした。


一方鞠子の元となった受精卵は暫く凍結状態にありましたが、結婚した氏家にも子供が出来ないという問題が起こり、夫婦で不妊治療を行っていましたが、ある時凍結中の受精卵を妻に着床させるという悪魔の思いが頭をよぎります。

実は氏家に相談してきた夫婦の妻は、昔氏家が愛した女性で、彼女のクローンをわが子として育てられるかも…という恐ろしい欲望に目覚めたのでした。
そしてそれをとうとう実行してしまいます…


「双葉」はやがて、卵子の提供者である自分の「元」である女性と会うところまで辿り着きますが、その女性は「双葉」のことを激しく拒絶。老いた自分がいる一方で、若かりし頃の綺麗なままの自分が存在することへの嫉妬と憎悪…。

一度は「愛してくれるかも」という期待を持った「双葉」ですが、ここには自分の居場所は無いと痛感し、自分と同じ想いを抱いているであろうもう一人の自分へ会うためにその場を後にします。


一方「鞠子」は研究グループの人間に拉致され、父と共に北海道は富良野の研究施設へ連れて行かれます。
半ば父を人質に取られた状態で言うことを聞かないわけにもいかず、研究に協力することに。
実は「双葉」の母親がスクラップしていた政治家が治療の困難な病に冒され、その政治家のクローンを作るためには、クローンとしての成功例である「鞠子」(もしくは「双葉」)の卵子を使うのが最も成功確率が高いということがわかっていたからでした。

しかし、愛読していた「赤毛のアン」にこっそりとしたためられた父からの真実を告げる言葉と「この場を逃げろ」というメッセージに後ろを押され、「鞠子」は施設からの脱走を図ります。


そして…

富良野のラベンダー畑の中、「鞠子」の後方では炎上する施設。

「鞠子」の目の前には…

自分の「分身」である「双葉」がレモンを持ってたたずんでいたのでした…



物語はここで終わりなのですが、読んでいて最も気になった

「一体二人はどうやって出会うのだろう?」

というやきもき加減が、まさか最後の最後まで引っ張られるとはw


今後この二人は幸せに生きていくことができたのでしょうか…?

兄弟とも家族とも違う、顔が全く同じな二人…。

幾多の困難を乗り越えて出会えた二人です。きっと力を合わせ、手と手を取ってその後も懸命に生きていくことでしょう。


読み終わってとっても清々しい気持ちになれるお話でした。
posted by ラムネ at 23:19| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月07日

探偵倶楽部 【著:東野圭吾】

東野作品はこれで7作目になりますね。昨日

探偵倶楽部

を読み終えました。


【あらすじ】
<探偵倶楽部とは、政財界のVIPのみを会員とする調査機関。美貌の男女が秘密厳守で捜査に当る>

大手不動産会社社長・山上が自宅風呂場で感電死した。
電気コードを用いた家政婦の計画的犯行と処理されるが、山下の妻・道代は夫の入浴の手順がいつもと違っていたことに疑問を感じ、倶楽部に調査を命じた…。

五つの難事件の真相を、探偵倶楽部が鮮やかに暴く!


昨年テレビで放送された同タイトルのドラマを見てその存在を知ったのですが、ドラマのほうはラストがやや尻つぼみだったものの、過程としてはそこそこ面白かったので、改めて小説で読んでみたいなと思い今回購入して読んでみました。

全5話のオムニバス形式で、共通するのは「あらすじ」にもある通り「探偵倶楽部」と呼ばれる男女二人組みが数々の難事件を調査し解決に導くというもの。

ドラマと決定的に違うのは、「探偵倶楽部」の2人は容姿が紹介されるのみで、名前などは一切出てこない点。

彼らは小説では裏方的立場に徹し、あくまで主役は各話に登場する関係者である、というところがドラマの描かれ方とは全く異なりますね。ドラマでは「探偵倶楽部」の面々が個性的(特に助手)で、キャラもたってましたから。


ちなみにドラマで採用された話は小説の最初に載っている「偽装の夜」という話。また上の「あらすじ」で書かれた話は二作目の「罠の中」です。

以後「依頼人の娘」「探偵の使い方」「薔薇とナイフ」と続きます。


個人的に一番面白かったのは最後の「薔薇とナイフ」でしょうか。

巧妙に仕組まれた偽装工作によって、完全犯罪が成功したものだと思っていた真犯人が、「探偵倶楽部」の推理によって暴かれる様は清々しさをおぼえます。



ところで、小説本を買って読むのはいいのですが、さすがに冊数が増えてくると場所を取りますね…

そこで、最近何かと話題の「電子書籍」にちょっと興味が沸いてきました。

ちょっと調べてみて、また記事にでもしたいと思います。
posted by ラムネ at 22:07| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月05日

NIGHT HEAD 誘発者 【著:飯田譲治】

ツイッターで「しょこら」さんのつぶやきを見て、その存在を知った

NIGHT HEAD 誘発者

を昨日読み終えました〜!


「NIGHT HEAD」とは、1992年にフジテレビで飯田譲治脚本によるドラマが放送され、その後小説にもなった、生まれつき超能力を持った二人の兄弟が織り成す壮大な物語です。


人間は脳の容量の約70パーセントを使用していないといわれている。
人間の持つ不思議な力は、この部分に秘められていると考えられている。
その使用されていない脳の70%は、こう呼ばれることがある−−−

『NIGHT HEAD』


あぁ〜懐かしい!


これまでに

「NIGHT HEAD」1〜5巻(愛蔵版)
「NIGHT HEAD DEEP FOREST」(愛蔵版)

を読み、ドラマのVHSソフトを全巻買い、劇場版の映画を見に行くというハマり具合だったのですが、まさか最近になって新刊が出ていたとは!

正直全く知りませんでした…「しょこら」さんのつぶやきを見ていなければ、おそらく気付かないまま一生を終えたことでしょうw

「しょこら」さんにこの場を借りて、改めて感謝します〜!


【あらすじ】
ロシアの超心理学センターで、戦災孤児の少女が日本の兄弟と石造を念写した。大地震が起きる!
超能力を持つ兄・直人と弟・直也は、日本を襲う惨劇を食い止めるべく動き出す。
そして世界の各地で能力に覚醒する子供たちが…。


物語は前作より4年後のロシアから始まります。

少し歳を取った御厨さん…あぁ懐かしい…。戦争によって両親と体の一部、そして「言葉」を失った孤児「ナジ」を可愛がる様子は、「御厨さん、すっかりおじいちゃんだな」という感じw

そして、超能力という人知を超えた力を持った霧原兄弟は、その力を世の中のために役立てようと世界各国を旅して周っていました。

兄・直人はより力強く、弟・直也はやさしさはそのままに精神的にとても成長した模様。色々あったもんねぇ〜

中東で兄弟が訪れることを知っていた能力者である老人から、近く大地震が来ることを予言され、御厨さんにロシアに呼ばれてナジと会うと、そのナジの念写能力により映し出された場所はなんと日本!兄弟は生まれ故郷に戻ることになります。

日本に戻った兄弟は、地震研究家である浪川と出会い、大地に流れる負の流れをつきとめてそのパワーを外へ開放することに成功します…が、完全には消えておらず、市民ホールのクラシックコンサート会場で激しい揺れが!

程なくその揺れは止まったのですが、老朽化していたホールのシャンデリアが落下!
その下に居た浪川を助けるべく、夫を突き飛ばして自らを犠牲となった妻ひとみ…

直也がヒーリングにより救おうとしますが、運命を受け入れようとそれを拒み、みるみる落ちていくひとみの生命力…

そこで直也に代わって母を救おうとしたのは、娘の玲奈でした。彼女は直也に「誘発」されたことにより、その特殊な能力を開花させていたのです…!

娘の呼びかけにより再び生きることを選んだひとみ…そうして、一命を取り留めたのでした。

直也は今後も「誘発者」となって世界の人々を導いていくことでしょう…。「ミサキ」に集まった12人の子供をはじめとして…。そして、超能力が特別な力ではなく当たり前のものとなる日が来るまで…。


玲奈が母親を救う場面で思わずウルッと来てしまいました…

更に、ラストで「言葉」を取り戻し「アリガトウ」と兄弟に投げかける場面でもキましたけど、この時は電車内だったのでこらえるのに必死でした^^;


全体のストーリー展開はSFの王道という感じでしたが、むしろそのおかげですんなりと入り込むことができ、「NIGHT HEAD」の世界に十数年ぶりにどっぷりとハマることが出来ました。

このストーリーで飯田譲治さん自身がメガホンを取ってくれたら最高なんだけどなぁ〜


久しぶりにドラマ「NIGHT HEAD」が見たいと思ったのですが、DVD化はされてないんですかね…発見できませんでした…リリースしてくれないかなぁ〜
posted by ラムネ at 22:22| 大阪 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月10日

レイクサイド 【著:東野圭吾】

少し前の話になりますが、

レイクサイド

を読み終えたので、ブログに記しておこうと思います。

東野作品はこれで6作目になりますね。


【あらすじ】
妻は言った。「あたしが殺したのよ」
-
湖畔の別荘には夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。
親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な陰が。
真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。


主人公・並木俊介は妻・美菜子とその連れ子・章太が毎年参加する別荘での中学受験合宿に今回は珍しく参加する。

その真の目的は、自分の愛人で過去探偵事務所に在籍していた高階英理子に頼んでいた「妻の浮気の証拠」を受取り、その真相を問いただすことだった。

しかし、事態は思わぬ方向に…英理子と会う約束をしていたものの、すれちがいとなり、別荘に戻ってきた俊介が見たものは、自分たち夫婦が使っていた部屋に転がる英理子の死体。

そして、美菜子が言う…「あたしが殺した」と。


合宿に参加していた家族は一様に美菜子を庇い、協力して事件を隠蔽することになります。俊介も説得されて運命を共にする決断をしますが、どうも他の家族が協力「しすぎる」…

予てからこの「合宿」にはウラがあるんじゃないかと…つまり、子供たちの合宿に託けて、親たちは淫靡な関係を持っているのではないのかと…そう俊介は思い、英理子に妻の浮気の調査を依頼したのですが…

どうやら英理子は調査をしているうちに別の事実をつかんだようで…家族らの子供たちが受験する名門学校の関係者と、その妻たちがなにやら密談をしている現場を写真に収めたのでした。

家族らは、秘密裏に受験問題を金で買おうとしていたのです…

そのネタを元に英理子は家族らをゆすろうとしていたのですね。


更に、ここからは俊介も想像なしえなかった事実が…

現場の状況などから、妻が殺したのではないということはわかったのですが、では誰が犯人なのか…?

ここで家族らが協力した理由がはっきりします。


犯人は、英理子にゆすられていることを相談していた親の話をこっそり聞いていた

「子供」だったのです!

しかも…

参加した4家族のうちの「誰の子供が犯人なのかはわからない」という…


子供は時に残酷です。自分や家族にとって不利益な人間である英理子の存在を、直感的に無きものにしようとしたのでしょう。

子供たちに問いただして「誰が犯人なのか」を特定することもあるいは可能かもしれない…

しかし、子供たちは受験を控えた大事な身…しかも、自分たち親が不正を働くような人間であり、子供たちを責められる立場では無い…


普通に考えれば異常な状況ですよね。俊介だけは真相を知って「警察に話すべきだ」と車を走らせようとしますが…

そこには息子・章太が作ったマッサージ用の工作が…車を乗っているときいつも腰が痛いと言っていた俊介を想っての作品でした。

そこで俊介にも芽生えた「父性」…

犯人は案外「章太」かもしれない…父の愛人の存在を息子が疎ましく思っていたとしても不思議ではありません。


俊介も、最終的には「最後まで隠蔽することに同意する」という形でこの物語は幕を閉じるのです…



子を想う親の気持ち、親を想うこの気持ち…それらが交錯した奇想天外な話で最後まで読めない展開でしたねぇ〜面白かったです!
posted by ラムネ at 16:19| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月30日

手紙 【著:東野圭吾】

通算5冊目となった、東野圭吾作品

手紙

を、つい先ほど読み終えました。


【あらすじ】
強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。
しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。


決して裕福ではない兄弟の兄・剛志は、頭のいい弟・直貴の学費を稼ごうとあくせく働きますが、無理が祟って体を壊してしまいます。

そんな体に鞭を打って引越しの仕事に付いた剛志は、担当した裕福な家に老婆が一人で住んでいることに魔が差しその家に侵入。鉢合わせになった老婆を勢いで殺害してしまいます。

強盗殺人の罪で兄が捕まり、一人で生きていくことを余儀なくされた弟・直貴。

彼の元には獄中の兄からの手紙が毎月かかさず届きますが、自分の学費のために罪を犯した兄を責めることなどできるはずもなく、兄の気持ちを汲んで実直に生きていこうと懸命に歩み始めます。

しかし、世間の目は常に自分を「犯罪者の弟」という目で見、幾度となく「差別」の目を向けるのでした…

そんな自分の苦労を知らずに届き続ける「手紙」を次第に直貴は疎ましくなり、やがて「自分に兄は居ない」と兄の存在を隠して生きていこうとします。

しかし、そんな直貴に常に付きまとい、自分の人生を狂わせる兄からの「手紙」…


やがて、自分の境遇を知って尚支えて続けてくれた女性「白石由美子」と結婚し、一女をもうけますが、そんな家族にも「兄の罪」という呪縛が付きまとうように。

家族を守るため、とうとう直貴は決意します。「もう今後兄とは一切かかわらないようにしよう」と。

そして兄へ、「兄との永久なる決別」を告げた最後の手紙を出すのです。これまで自分が歩んできた辛く厳しい現実をありのままに記して…


苦労して就職した家電量販店の社長・平野と話したことで直貴は気づかされたのです。

今までの自分は、最初は兄への申し訳なさから、そしてだんだんと憎悪に変わりながら、兄へ自分の実情を伝えることなく生きてきたが、それが間違いだったのだと。

兄自身が犯した罪が、家族を常に苦しめ続けていたという事実を知って尚、その罪を償う覚悟を背負わせるべきだったのだと。



クライマックスは家で一気に読んだのですが、涙が止まりませんでした。

直貴が下した決断が果たして正しいものだったのか…誰にも正解はわからないでしょう。

たとえ犯罪を犯した人間の家族に罪は無いといっても、世間はその事実を知ってしまうとどうしても疎遠になってしまいます…由美子も自身が父の借金苦で苦しい思いをしたという境遇で、直貴の気持ちに共感できたからこそ結婚できたのでしょうし。

だが、そんな世間を誰が責めることができるでしょうか。それが人間の自己防衛本能なのですから…


私も、ある日突然知り合いが「実は強盗殺人犯の家族なんだ」と告白されたら、その後も変わらず接することができるかどうか…正直自身はありません。

もし、この作品の「世間」と同じように相手を避けるようになったとして、そんな自分を嫌悪するのでしょうか…そして「それが当たり前だ」と自分に言い聞かせるようにして無理やり納得させるのでしょうか…


改めて、いろいろなことを考えさせられる良作でした。
posted by ラムネ at 21:20| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月13日

秘密 【著:東野圭吾】

東野作品4冊目となる

秘密

を昨日読破しました。


【あらすじ】
妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは死んだはずの妻だった。
その日から杉田家の切なく奇妙な”秘密”の生活が始まった。


主人公「平介」を襲った、妻と娘が乗ったバスが事故を起こすという突然の不幸…幸いにして娘の藻奈美は無事生還しますが、その心は死んだ妻「直子」のものでした。

という言わば「SF調」で始まる物語ですが、そこからは「奇妙な"夫婦”」の生活が描かれます。


そんな二人の関係は当然世間には「秘密」にしなければならず、妻直子はあくまで娘の藻奈美として生きるべく懸命に努力しますが、そんな二人の間にも徐々に亀裂が…

若い体を得、第二の人生を歩んでいる直子に、平介は徐々に嫉妬すら覚え、ついには彼女の学校での交友関係なども気になって仕方が無い、ほとんどノイローゼに近い状態に…

そんな二人がいよいよダメになろうかというときに、突然娘の藻奈美の”人格”が「藻奈美」に現れます。

それは徐々に長くなり、それと同時に短くなっていく「直子」の人格…

最後は「直子」の希望により平介と初めてデートに訪れた公園へ…そこで、妻との「二度目の別れ」をする平介だったのでした…


それから数年が過ぎ、嫁いでいく藻奈美。

そのとき、平介は偶然藻奈美が馴染みの時計店に、母の形見である指輪を自分サイズに直してもらうよう依頼したことを知ります。

激しく困惑する平介。というのも、その指輪の隠し所は、藻奈美に憑依していた直子しか知らない場所だったのです。

「まさか…」

しかし「直子」はそれを問うても答えないだろう…あくまで自分は「藻奈美」だと主張するはずだ…

娘は今日嫁いでいく…決して明かすことのできない「永遠の秘密」を持ったまま…


この物語では実に数々の「秘密」が描かれています。

主人公「平介」と、娘の体に憑依した「直子」の秘密を中心に、事故を起こしたバスの運転手がなぜ時間外労働を強要してまでお金が必要だったのか…

そして極めつけは衝撃のラスト…

最後まで真相は「秘密」のままなのですが、結局「藻奈美」の人格が戻ってきたということも含めて全てが今後「藻奈美」として生きていくことを決意した「直子」一人による「秘密」だったのでしょうか…


指輪の隠し場所は藻奈美の大事にしていたテディー・ベアのぬいぐるみだったのですが、冒頭に描かれていた伏線がこんな形でラストに現れるとは全く予想できませんでした。

大変面白く、そして切ない物語でしたね。


ところで、11年前に広末涼子主演で映画化されていることをネットで調べて知ったのですが、そのラストは原作とは別のものらしく、原作を読んだファンにとっては不評のほうが多いようです。

興味があるのでちょっと見てみたい気もするのですが、「見なければよかった」なんてことになるのも悲しいし、う〜む、どうしようかなぁ…?
posted by ラムネ at 21:49| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月15日

むかし僕が死んだ家 【著:東野圭吾】

東野圭吾さん作品としては3冊目となる

むかし僕が死んだ家

を読み終わりました。


【あらすじ】
七年前に別れた恋人・倉橋沙也加からの電話が鳴った。結婚して娘もいる沙也加は、一緒に長野県にある「幻の家」を訪れてほしいという。「あなたにしか頼めないから」とも。逡巡する主人公だが、「幼い頃の記憶が全然ない」と訴える元恋人の左手首の傷を見て、その家を訪ねることを決意する……。


この物語に登場するメインキャラは「私」と「沙也加」のわずか2人。

2人は沙也加の亡き父が生前管理していたらしき山奥の不思議な建物を訪れるのですが、その家は玄関が出入りできないよう打ち付けられており、中に入るとまるである時間で止まったままのような空気…

ライフラインも通っていない家でどうやって暮らしていたのか…

そして、幼い頃の記憶が徐々によみがえってくる沙也加…


実は、この家は本物ソックリに作られた、横浜にあった火事で消失した家の「レプリカ」で、死者を弔う「墓」であることが、2人の調査で明らかになります。

更に残された少年の日記や金庫に入れられていた封書から徐々に事実が判明し、最後には沙也加の記憶が完全に元に戻ると共に、辛く恐ろしい真実が紐解かれるのでありました…。


なぜ沙也加の父はこんな家を管理していたのか?
なぜ沙也加は自分の子供を愛せないのか?
なぜ沙也加は幼い頃の記憶が無かったのか?

私にはとても予想できなかったラストがそこには待っていました…。


「沙也加は沙也加では無かった…」


沙也加は実は少年の妹で、自分を性的に虐待していた父親のために兄は家に火を放ったのでした…

その火のせいで、父親と兄、それによく遊びに来ていたお手伝いさんの娘である本物の「沙也加」が死亡。

生き残った「少年の妹」は、忌々しい真実のせいで記憶を無くし、周囲の大人もそれを幸いとして名前を「沙也加」として、お手伝いさんの娘として生きる人生を歩ませたのでした…。



あまりにも読めない展開に最後は言葉を失いましたねぇ〜
まさかこんな結末が待っていようとは。

主人公である「私」が徐々に明らかになっていく真実を「果たして本当に明らかにしていいのか」という葛藤に悩む過程も巧みに描かれていました。


いやぁ面白かった!


PS:歯医者通いはもう終わったのですが、東野作品は継続して読み続けていこうかな、と思います。
posted by ラムネ at 00:37| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月09日

宿命 【著:東野圭吾】

東野圭吾作品2冊目として購入した『宿命』を読み終わりました。

この作品は先に読んだ『変身』の1年前に書かれたもので、実は同じ「脳」をテーマにした、ある種続編のような位置付けだったりします。


【あらすじ】
高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。
男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果たすとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。


この小説の面白いところは、単なる殺人事件の犯人探しだけで終わるのではなく(もちろん殺人トリックなどもしっかりしていて素晴らしいのですが)、むしろその裏に隠された主人公・勇作とライバル瓜生晃彦との「宿命」の対決と、その衝撃の結末がとても印象的でした。

勇作が幼少の頃に親しくなったレンガ病院の患者「サナエ」が、ライバルである晃彦の母親だった、というオチはなんとなく途中から読めましたが、まさか勇作と晃彦が二卵性の双子だったとは…

お互いがお互いを疎ましく思い、好きになれなかったのは、実は「お互いが似た存在だった」からだった…

まさしく二人の「宿命」は出生の瞬間から始まっていたんですね!


ラストで勇作がした「先に生まれたのはどちらだ?」という質問に対し、晃彦が「君のほうだ」とちょっとおどけて答えるシーンが印象的でした。


さて、歯医者はまだ通っているのですが、もう待ち時間をつぶす道具としてではなくすっかり東野作品にハマってしまった私は、既に次の作品を読み始めています。

読み終わったらまた記事にしたいと思います。
posted by ラムネ at 00:47| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月19日

変身 【著:東野圭吾】

最近週1ペースで歯科医院に通っているのですが、人気の医院で待ち時間が結構長い…

置いてある雑誌はグルメやレジャーの特集本やカー雑誌、子供向けの絵本などどれも読む気がしないものばかりなので、小説でも買って読もうかなと。

最近活字からちょっと離れてましたからね。昔は「シドニーシェルダン」のブ厚い豪華本とか買って読みふけってたりしましたけど。


本屋を訪れ「何を読もうかな」と物色していて目に止まったのが、「ガリレオ」シリーズなどで最近なにかと話題の『東野圭吾』コーナー。

以前鑑賞した「容疑者Xの献身」も相当面白かったし、この人の作品なら間違いなさそうだ、と、作品の「あらすじ」を確認しながら面白そうなものをチェック。

そうして、最終的に決めたのが『変身』でした。


【あらすじ】
平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。
そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。
それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。
自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。


ドナーの正体についていは読む途中で想像がつき、事実その通りだったのですが、主人公純一が徐々にそのドナーの人格に心を支配されていく過程がリアルに描かれています。

自分の"変身"を押さえられない純一が最後に取った行動は、とても儚くせつないものでした。

そして、恋人の恵が最後に手元に残した、彼の描いた「恵の絵」は、そのせつなさをさらに増大させます。


人間の死とは果たして何なのか?

そんなことも改めて考えさせられる奥が深い作品でした。



調べてみたら、玉置宏/蒼井優 主演で映画が公開されてたんですね。

レビューを見ると酷評が多いのが気になりますがw

怖いもの見たさ?で今度レンタルショップで借りてこようかな〜


PS:
現在は新たな東野作品を読んでいます。

今作品は「変身」に比べてより長編の予感…また読み終わったら記事にしますね。
posted by ラムネ at 19:50| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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